多くの読者にとってはメーカーであるFMCも試作を表すXR311という名前も知られていないであろう。しかし一部の軍用CCVマニアにはハンマーやランボルギーニ・チータに影響を与えた試作車であることで知られている。スペースフレームにリアエンジン、フルタイム4×4というスポーツカーもどきのレイアウトであるがバギーでもあり軍用車である。しかもV8でタイアを鳴らすアメリカン・マッスルカーの楽しさも持っている。

羊頭狗肉という言葉があるが、こいつは正しくランクルという看板を掲げて縮めたサーフを売るものである。しかも値段だけは羊の値段という厚顔ぶりだ。フロントが堅く動かず、リアで追従性と乗り心地を補うというのはオンロードでもマトモな車ではない。誇りを持って買いたいユーザーもいるのに名前と形が揃えば売れると思って設計したのだろうか。

たった1台だけ輸入された「最も日本では成金受けしないR/R」。コイルスプリングの最終モデルでハイテクは盛り込まれた100インチのそこそこに豪華なもの。新しいディーゼルと5速マニュアルにボルグワーナーのトランスファーというディスコにはない組
み合せ。この車種のユーザーを想定してか意外なほどクロカンを軽視していないサスペンションをもつ。

寄せ集めで作り上げても新しいジャンルの車と言い張るのが「魔法使い」なのか知らないが。ビッグホーンとの社内競合をさける為か結果的にはビッグホーンよりもほんの少しは軽量で自由な脚なのがせめてもの救い。

クロカン向きなマニュアル車には2倍減速しかない70系にA/T車用の低いローレンジギアを組み込んだ車のテスト。1台はローレンジを2.295:1にしたあまり改造していないPZJ70。もう1台は2.295:1のギアにデフのギア比を4.556:1に下げてショップ店主らしく色々と改造したHZJ70でCCV15で試乗した車の変わり果てた姿。が､この改造でやっとサファリ並の減速。

かつてアメリカンモータースの時代にCJ-7を更にロングホイルベースにしてジープの欠点である少ない積載スペースを多くしピックアップ的要素も狙ったモデル。しかし当時大量に流入した廉価な和製ミニピックの前に売れないままに消えていった。それをベースに大幅改造して性能アップさせたもの。もう少しダイエットして細脚だったらなと思わせる。

アメリカも西の新開地と違って泥々の多い地方ではサスペンションに関心が高いようだ。コイル化ラングラーのお仲間のコイル化されたジープそれもサイドバルブ4気筒のままでパワーより軽さとサスという流儀。ランクルはFJ40にシボレーのV8を搭載した「シボタ」の脚をコイル化したもの。もう1台はサムライの岩場仕様でリーフをアクスルの上に配置するがリフトは最小にしている。いずれも見かけより走りの3台。

• トラクション･タイア:ヨーロッパで性能の割に安いと定評あるECLはミシュランのXCLと同じパターンを持つ750R16の再生タイア。SUMO（相撲）トラクションという廉価な750R16はジープサービスに似ているが名前通りに踏んばりが効く。堅いトレッドとソフトなサイドが特徴。共に8PR
  
• 社会とCCV:首都圏と阪神圏の古い貨物車を規制する自動車NOx法は過去のことではありません。その後の動きを考えます。結果がどうなったかをしっかりと見ておいて今後の自動車政策を見て行きたいものです。
  
• こんなCCVが欲しい:あの三菱でも社内にはこんな人々もいると驚く空圧利用の関連サスを持つジープ。商品化には遠いであろうし実用化にももう少し練るようであろうが夢は持ち続けてもらいたいもの。
  
• SHOP&TEST:新しいコールマンのランプでは逆の内外価格差も発生している。全体としてはまだまだであるが少しづつ日本の物価の国際的な平準化が進んでいる。横浜が日本市場を牛耳ろうとしていたBFGのタイアだがミシュランへ吸収されてしまった。横浜USAのカタログには何処でも買えない魅力的な750-16が。日本代理店が機能しなくなった世界最大の四駆関連小売業ディックシーペックの社長談。対日直接進出の意向。いよいよ街角のスタンドで売られるテネコのショック、ユーザーが一歩先行くローヴァー・ビジネス、RTVガスケット、液体絶縁テープ、脱着容易なタコマンシャックル、エンジン修理ランプ、＋ドライバーにも種類が。
  
• アイデア工房:ジープにクルーズコントロールをつける、ジムニーのチープな改良色々、CR-Xのシートがジムニーに適、LR110の小改良。
  
• イベント:加州での緑車集会では随分と珍しい車が。興味ある車が増えた7LRM、コレクターズ・ミーティングも3回目、長者原の合戦短信。
  
• ＸＣボイスは日産キャリアやいすゞのレッカーを連ねての度、掛札氏
  
• コラム:ジープJ36紀行は婚礼挨拶。本誌でボツになると何処にも発表出来ないからというパトロール60のサスペンション。二階堂氏によるテーパーリーフスプリングのこと、森本氏はディスクブレーキのキャリパーについての考察。やっと入手となった再生タイアを中心にあれこれ。つき合って10年のオーナーが語るラダニーバとの愛憎。そしてお馴染みランクルが最高。
  
• 高い買物:CCV21から納税者として素朴な疑問を呈している機動車の自衛隊への納入と市販の価格を問い合わせてきた。やっと行政監察局に相談して防衛庁内局から返答がありました。防衛にしても防災にしても適材を適価でしかも公開の上で買い上げてもらいたいもの。
  
• 小説:前回の後編
  
• 中村一生氏は長い間関わってきたイベント。寺崎氏のコラムもいつものペース
  
• ミリタリーCCVは、1930年代に英国のメーカーがインド軍の求めで製造した6×6や8×8。左右の前輪はトランスファーから直接に独立して駆動される。機能に徹してコストをかければ技術は昔からいくらでもあった。
  
• 今号の読者プレゼントは珍品・奇品を含めて数多くあります。規定を必ず守っての応募をお願いしますし冗談も理解願います。